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生物材料移転プロジェクト

研究用ツールのためのクリアリングハウスの構築

ライセンスの選択

(このプロジェクトの詳細については、こちらのプロジェクト詳細をご覧ください。)

生物材料移転契約プロジェクト(MTA)では、DNA、細胞株、モデル動物、抗体などの生物材料を移転するコストを低下させるための標準的なモジュール化された契約を作成し、展開しています。MTAプロジェクトは、非営利機関の間での移転、それから非営利事業と営利機関の間での移転を扱います。これは、既存の標準的な契約を新しいサイエンス・コモンズの契約に沿うWeb上に展開された一式に統合し、材料の発見機構としてライセンスを使用することにより、AmazonやeBayに倣った取引システムの構築を可能にします。

我々のMTAのプロジェクトには、科学者の作業を容易にし、より早く自身の作業を開始できるようにするというシンプルな目標があります。これは、研究者が、月日を浪費して、研究計画を危うくすることなく、必要とされる材料をより良く配置し、整理するのを支援する必要があることを意味します。このような技術革新の時間をかけた累積的なインパクトは、絶大であり、体系的に発見を加速し、最終的には、早期治療や科学の分野からの有用な応用をもたらします。これらの種類の研究材料の注文が早く、苦労せずにできるとき、別の分野の多くの人、特に治療を待つ人にとって、状況が非常に異なるだろうということには、なかなか想像が及ばないでしょう。

これら全ての背景にある理由…

2005年の秋に開催された学際的なワークショップの結果として、生物学的な材料の移転に存在するライセンスの問題が、我々の注意を引きました。特許が一般に科学の進歩に対する障害とみなされていますが、我々のインタビューに基づく研究では、実体(entity)の材料移転が遅いこと、または存在しないことの影響が、基礎研究サイクルを更に大きく減速させていることについて顕著な同意を得られました。

材料は、暗黙知を表すものです。例えばバクテリアベクターや抗体を生成するには、何ヶ月も何年もかかることがあり、再現性を取るのも時間がかり、難しい作業です。これらの材料へのアクセスを得るには、秘密、競争、材料を製造する資源の不足、時間の不足、法的な取引コスト、遅延などの制約があります。

このため、我々は、法的な取引コストだけでなく、全体のサイクルに対処する契約一式の構築を目標とすることにしました。これをさらに調査するため、我々は、神経変性疾患の出資者、技術移転関係者、材料リポジトリ、法律学者、それから他の専門家からなる作業部会を招集しました。この混成チームは、出資者がこの合意の利用を奨励し、科学者が履行のために材料をリポジトリに寄託し、技術管理者が快く合意の契約をするという、取引システムの少なくとも初期の要件を上記契約が満たすことを保証します。

(我々は、材料移転に関する問題についての実証的なデータや他の知見も蓄積しています。この情報に関しては、こちらをご覧ください。)

最初の作業…

我々の作業部会の助けを借りて、契約一式を下書きし、これらを見直し、それから我々のソーシャルネットワークを通じて、他の技術移転オフィス、産学イノベーションを最適化する組織に対する作業の早期発表をし、我々の初期のリリースに磨きをかけるため、MTAワークフロー、材料リポジトリなどのソフトウェアに取り組みました。この作業の結果、大学と産業での間の移転に取り組むだけでなく、2つの主要な既存の大学間契約、すなわちUniform Biological Materials Transfer Agreement(UBMTA)とSimple Letter Agreement(SLA)を組み込む、我々自身の合意契約書を構築することになりました。

次に、これらの契約をクリエイティブコモンズの方法論に移植する作業を始めました。この契約は、Webで可能な質問方式のインタフェース、人間が読める譲渡契約書、メタデータで開始し、検索と関係追跡をするクリエイティブコモンズのソフトウェアインフラストラクチャで動作します。

クリエイティブコモンズライセンスの検索エンジンへの統合の成功に基づくこのメタデータ駆動型のアプローチは、科学者が典型的な研究の際に「ワンクリック」埋め込みをできるように、研究文献とデータベースに直接材料ライセンスを組み込めるようにします。それからクリエイティブコモンズライセンスのように、単純な引用索引ではなく多次元の科学的研究の影響力に対する新しいデータポイントを生成し、関連するピアレビュー誌やデータセットに特定の材料を結びつけて、材料の伝播と再利用を追跡するように、ccHostプラットフォームを活用することができます。

進捗状況…

これらのニーズを満たすようにシステムを構築する際、私たちは、すでに利用可能な最高のもの(例えば標準的なUBMTA)に基づいて構築します。我々は、満たされていないニーズに対応するように、より多くのオプションを加えました。これは、既にぎりぎりまで酷使されていて、現行の方法によって作られた作業ボリュームに対処できない技術移転オフィスや弁護士にさらなる負担をかけずに、より大きな標準化をもたらすように行われました。我々は、(弁護士ではない)科学者が理解し、識別するの容易にする同意契約書を作成しました。研究者が少ない書類仕事で材料を交換し、再利用できるようにすることを保証するため、我々は、大学、機関、民間セクターと緊密に作業を続けています。

iBridge Networkは、UBMTA、Simple Letter Agreement、それからサイエンスコモンズによって初めて提供される柔軟なモジュール型のMTAの新たな一式を含む、ソフトウェアインフラストラクチャの我々のベータテストの展開をホストします。我々は、この一式が、材料移転に関するシナリオの大部分を標準化するのに十分な選択肢を提供すると信じています。

iBridge Networkを用いることによって、我々のベータテストは、参加している組織が、それらの間の材料の共有における摩擦を減らすことができるでしょう。我々は、材料の提供者が、MTAを選択するためにドロップダウンメニューと標準的な質問を備えたシンプルなインタフェースを使用することができるポータルを、iBridgeネットワークに統合します。シンプルな質問に答えることによって、標準的な学術のMTAのうちの1つの選択肢を提供されるか、サイエンスコモンズのMTAの一式に基づいてカスタマイズできるようになるでしょう。このプロセスの最後に、彼らは、彼ら自身の選択と応答から生成されるMTA(実際の法律テキスト)のコピーにメタデータを付加したものと、「人間が読める譲渡証書」を受け取ります。メタデータは、検索エンジンによる検索と分類を容易にするように、Webでの提供にタグ付けするために使用でき、譲渡証書は、これらの関連する属性を人間にとって即座に明らかにするように、各々の明確なMTAを「表示(brand)」します。

我々は、強力な検索と入手可能な材料の追跡をサポートできる技術インフラを構築するため、Web技術をフル活用しています。これらの断片全てを一緒に置くことにより、我々は、我々の材料移転システムがいつかオークションのeBay、商品発注のAmazon.com、又はコンテンツ検索のGoogleと同じくらい効率的になることを思い描いています。なぜeコマースでのこれらの成功例が、材料の入手における問題を解決するために完全に活用されていないのでしょうか?なぜ我々は、いまだにWebが生まれる前とほとんど同じやり方で材料を交換しているのですか?

Web上で材料を見つけるのを容易にし、標準的な契約を介して材料の取得を容易にすることによって、どんなシステムも、研究所と科学者に負担をもたらす危険を冒します。ほとんどの研究所にとって、試料の製造、配布は、最優先事項ではありません。

そういうわけで、最初から、我々は、サービスとして流通、製造を提供することによって科学コミュニティに貢献している組織であるAddgeneのようなパートナーを巻き込んでいます。材料の移転の全サイクルには、契約書や技術だけではなく、標準的な契約の下で材料を輸送し、追跡することができるサービス機関の存在も必要とされます。

その答えの1つは、誰もこれを単独ではできないということです。このビジョンを実現させるには、多くの共同作業が必要とされます。これには、思い切って、新しいやり方をする必要があります。私たちのMTAのプロジェクトは、このビジョンの一つです。

サイエンスコモンズライセンスは、どのように機能するか

サイエンスコモンズライセンスは、科学と法律の両方からのエキスパート・アドバイザーのグループと、科学コミュニティにより導かれています。公開のリストサーブ・ディスカッションを通じて「仕様」を策定しました。またLicensing Working Groupも作りましたが、こちらは、ソフトウェア開発における機能設計に相当するものです。

この分野でのサイエンスコモンズの作業を駆り立てる問題の詳細については、我々の生物材料移転プロジェクトの背景説明をご覧ください。また、材料移転問題についての実証データや調査結果も読むことができます。